もくもくと上がる蒸気。
それは鹿児島の
お菓子づくりの原風景。
いままでにないお土産
製造ラインを眺めているとあらためて気づくことがある。
機械や人の手によって、
おいしくなることはもちろん、
食べるときにわずらわしいことがどんどん排除されているのだ。
生地が外袋にくっつかずとりやすいように、
透明なフィルムで帯にまく。
開けやすい袋を使う。
持っても形が崩れない生地の柔らかさやカスタードが
たれ落ちないなめらかさになっている。
「とにかく食べる人の身になれ、材料をケチるな、
余計なものを入れたり使ったりするなと社長からはいわれてきました」。
そんな徹底した心遣いが、
かすたどんのあのやさしい味に出るのだ。
食べる人が喜ぶように、
なにも困ることがないようにーかすたどんは、
そんな気遣いのかたまりだった。
それを知っただけだが、
これまでにもらったことのないような、
お土産を手にしたような気がした。
蒸氣屋という名前はどこから?
「鹿児島のお菓子の始まりは蒸し菓子だったんです。
外様大名の薩摩藩は江戸時代から幕府に苦しめられて貧乏した。
経済的に高い燃料は買えないから、
流木や廃材を燃料にして蒸気で蒸し菓子を作った。
そこから蒸氣屋とつけました。」(山口さん)。
蒸し菓子である「かるかん」や「かすたどん」の原点。
すべてに「シンプル」
かすたどんの生地が、
小麦と卵と砂糖だけしか使わないように、
お菓子の材料はシンプルが基本。
不必要なもの、不自然なものは取り除く。
薩摩蒸氣屋の基本カラーも
赤、黒、白の3色だけしか使わない。
かすたどんとかるかんは兄弟
もともと、かすたどんは、
「かるかんまんじゅう」の機械でつくられた蒸し菓子。
多くのお菓子は生地を焼いてから蒸すという方法だが、
「かるかん」や「かすたどん」は「蒸す」だけ。
「丸に十字」のシンボルマーク
かすたどんの包装にも使われる
薩摩蒸氣屋のシンボルマーク
「丸に十字」は、薩摩藩のお殿様、
島津氏の家紋をモチーフにしたもの。
かるかんもシンプル
米粉、山芋、砂糖の生地
米粉、山芋、砂糖で作るかるかんの生地は、
小麦粉や卵アレルギーの方も安心して食べられるお菓子。
「三どん」とは?
「三どん」とは薩摩蒸氣屋の定番、
「かすたどん」「銅鑼殿(どらどん)」「おらが西郷どん」の3つの「どん」。
「銅鑼殿」は北海道小豆を使った粒あんどらやき。
「おらが西郷どん」は西郷さんを思わせる大きく柔らかな丸ボーロ。
菓々子横丁で大人気
〝パフェ〟にもなったかすたどん
マロン、抹茶、バニラの3種類のアイスに八朔、
栗、白玉、かすたどん。
ふんわりとした生クリームに甘さを控えたあんこ、
黒蜜をかけた、抜群のバランスでおいしい和パフェ。
知る人ぞ知るご当地スイーツ
「技」の継承を大切にする
380年の老舗、
鶏卵素麺の松屋(福岡市)も
薩摩蒸氣屋のグループ会社。
「和菓子屋の伝統の火を消してはいけない。
何十年、何百年も引き継がれてきた技、
世の習わしをもっと大切にしたい」(山口さん)
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