かすたどんの謎 Vol.1

鹿児島には、西郷どんの次に有名な「どん」がいる。
平成の世を駆け抜けてきた人気者「かすたどん」だ。
なぜにそこまで好かれるのか。その秘密が知りたい。


お酒には弱いが、

甘いものが大好物だったという西郷どん。

そんな薩摩の偉人に、いま食べさせたいお菓子があるとすれば、

「かすたどん」がナンバーワンではないだろうか。

いまは懐かしい昭和の終わりから平成の始め、

バブルの絶頂期ともいえる頃に誕生した「かすたどん」。

星の数ほど登場したお菓子たちの中でも、

ふんわりまあるいこのお菓子は、

発売当初から人々を熱狂させた。

30年のときを経た今では、

気軽に買える値段と食べ飽きることのない味わいで、

鹿児島のお菓子の中でも定番中の定番に。

盆や正月、ゴールデンウイークともなると

駅や空港の売り場では、あっちでも行列、

こっちでも行列、という光景を目にするほどだ。



わが家の熱狂

わが家を振り返ってみても、

そうなのだ。

かすたどんを手みやげにしたときは、

妻も、幼い娘も雀のように小躍りする。

それだけではない。

同居する100歳になるおばあちゃんは

目尻を下げてパクリと食べてくれるし、

30代の従妹は子どものころ箱で貰った

かすたどんの取り合いで兄弟喧嘩になって

いつも負けていたと遠い目をするし、

県外に出た甥っ子は「鹿児島のかすたどんっておいしいね」と

友だちに褒められたと声を弾ませたりする。

そんな、かすたどんエピソードは枚挙にいとまがない。



わきあがる「謎」

ふだんから、

その人気ぶりを目の当たりにしている

自分のような地元人だからこそ、

もっと知っておきたいと思う。

今まで知らなかった、かすたどんのことを。

そもそも、お菓子に「どん」がつけられたことからして謎だ。

「どん」とは鹿児島弁で「殿(どの)」。

「殿様」にもつながるやんごとなき敬称のはず。

湧きあがるさまざまな「謎」を胸に抱えながら、

天文館の「菓々子横丁」へでかけてみた。

そこは、いちばん気軽に、

かすたどんに会える場所だから─。

ミナミノクニ/地元人が見つけた面白い鹿児島

鹿児島で発行されている観光情報誌の編集スタッフがお届けする鹿児島のウェブマガジン。

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